――太陽と月が留まり続ける世界、テラリウム。
『ニグレウム』『オグレウム』『エラゴリウム』の三大国による絶対王政の時代。
太陽と月が留まり続け、空が移り変わることはけしてない。
創生時、神は数多の大地とふたりの子を創られた。
生まれたばかりの神子達は大地に住まうものを閲覧し、やがて自分達には欠落しているという"心"というものに興味を持ち始めるようになった。
ひとりは心というものを識る為に大地へ旅立ち、ひとりは大地に住まうものの心を喰らう事で識ろうとしたという。
やがて、喰らったものは旅立ったものよりも早く、心というものを理解することができた。
心を手に入れた神子は更なる欲求に駆られ、心を喰らい続ける。それが良くなかったのだ。
必要以上に喰らい続けた神子は感情の海へと溺れ、生みの親を世界を呪うようになった。
心を識りすぎた神子の呪いは瞬く間に世界を蝕み、その惨状を哀れんだ神はその身を犠牲に神子を深い深い眠りへとつかせたという。
今もなお、厄災の申し子として言い伝えられている神子は、数多の心を抱えながら大地の下で眠っている。
――それがテラリウム。僕達が生きる世界である。
ニグレウム
エルテノ森林
オングロッタ洞窟
オスカエンテ平野
エタリタスカ荒野
シュトラベルク火山
アルバ遺跡
ウェールス砂漠
ミロワール湖
エラゴリウム
ティーヴァリエ峡谷
テーレ密林地帯
クヴェル港
ナヴィガヘーレ洞窟
オグレウム
デゼーオ坑道
ラファガベルク氷山
ルシネ樹林
『生を授かったものはやがて、命が尽きると海へと還る。
魂は生涯の行いによって決められた層へと振り分けられ、暫しの休息を得てまた生を授かる。
生前の行いによって、転生するまでの長さが変わるのだ。
愛するものの為に身を捧げよ。さすれば汝、救われん。』
『この世で血縁を忌み嫌うものほど愚か者はいない。
無理に絶とうとするものは、記憶の狭間で延々と彷徨う罰を受け続けるのだ。』
――『生命のコトワリ』より、抜粋。
この世界では天国をカエルム、地獄をインフェルヌスと呼び、現世をセンティアと呼ぶ。
常世は各々が層分けされており、現世での行いによりどの層に振り分けられるのかが決まるようだ。
サンクトゥスと呼ばれる最上層には神様が住んでおり、ニヒルと呼ばれる最下層にはこの世で一番罪の重い行いをしたものが送られ輪廻転生を絶たれると謂われている。消滅すら叶わないその場所で延々とさ迷うのだ。
魂は層へと振り分けられる前に魂を浄化する浄化海、ラクテウスを通る。その事をナヴィガシオンと呼ぶらしい。 浄化海を通る際、魂は泡沫のように上へ上へとゆっくり昇っていくようだ。なお、ニヒル行きの魂はこの浄化海を通らない。